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2020.07.16 | スーツの雑学

スーツに台場があるとなぜいいのか?オーダースーツの『サローネパルテンツァ大阪』

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先日、上衿裏のヒゲについて書かせて頂きました。
技術的な話になり興味を持って頂ける方がいるかな?と思いましたが、
勉強になりました!というお声を頂き、嬉しい限りでございます。

本日は「台場」について書かせて頂きます。

ヒゲ同様、台場があるスーツはいいスーツの証だということはこれまたよく見ますね。
これは裏地が傷んだ際に容易に裏地の交換が行える為ということもよく見ます。

様々な台場の仕立ての方法や使用しない例も紹介

さて全ての台場にそれが言えるかというと、そうでもありません。
台場と言っても本台場と言われるものや船着き台場等あります。
また、手縫いかミシン縫いかによっても変わります。

ビスポークで作る際の台場

まず私がビスポークで作る際の台場です。
身返しの上に躾糸で仮止めしてあります。ようは乗っているだけですね。

これを手縫いで一針ずつ星止めで裏地と身返しを固定します。

ナポリの某サルトの仕立てたジャケットの台場

こちらはナポリの某サルトの仕立てたジャケットの台場風の仕立方です。
何という名前なのかは分かりませんが、台場と内ポケットの口布が一体化した作りです。
もしこの仕立方の名前をご存じの方がおりましたら、ぜひご教授ください。
このジャケットも裏地は手縫いの星だけで止め付けてあります。

手縫いで裏地を据える場合は星で止める方法と、端をまつってとめる方法が
ありますが、どちらも手縫いに変わりはありません。

台場無しで内ポケットの玉縁を表地を使用

次にこちら。
台場無しで内ポケットの玉縁を表地を使用して作られています。
裏地の端に飾りの星が入っていますが、身返しと裏地自体はミシン縫いで中表に
して縫われています。
玉縁に表地が使われているぶん、口の強度は高くなります。

 

台場無しで玉縁は裏地を使用

そして次がこちら。
台場無しで玉縁は裏地を使用するパターンです。
裏地の端には星無しです。
こちらも先程のものと同様身返しと裏地は中表にしてミシン縫いです。
こちらは先程と逆で玉縁の口に裏地を使うことで柔らかくなります。

 

台場部分は身返しと接いであり、裏地自体も台場

最後がこちら。
台場部分は身返しと接いであり、裏地自体も台場、身返しに中表でミシンで
縫製してあり、そこに飾りの星が入っています。
この仕様もよく見る仕様ですね。

 

さいごに

注意して見てみると色々な仕立方があるということがおわかり頂けるかと思います。

裏地が取り替えやすい

という仕立方は手縫いの星止めかまつり縫いが圧倒的に楽に交換出来ます。
1か所の糸を切ればするすると裏地は外れます。
ミシンが得意な方はそうでもないかもしれませんが、特に裏地に直接玉縁を
作ると交換作業は中々難しいことが想像できます。

ヒゲ同様、長く着用することを前提として仕立方は考えられています。
特に脇の下は擦れるのが最も早い箇所であり、裏地の交換を承ることも
多々あります。
サイズ直しがしやすく、傷んだパーツの交換が容易であることは昔は
必須条件だったのでしょう。

逆の発想で、ミシンが無かった時代は手縫いでやらざるをえなかったのかも
しれませんが、先人の知恵はやはり凄い。

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