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February 01, 2021

失われつつある言葉「梅春」

2月になりました。

私が御幸毛織に入社した平成4年頃は、オーダー業界において服地の着用シーズンを表す言葉として「梅春(うめはる)」というものがよく使われていました。桜よりも早く、梅の花が咲くころ、まさに2月から3月にかけて、春とはいえまだまだ寒さが厳しい時期になります(1月が含まれる場合もあります)。この時期に着用するのに最もふさわしい服地、つまり梅春物の定番として当時認知されていたのがモヘヤ素材になります。

「モヘヤ(MOHAIR)」というのは羊からウールが産み出されるのに対して、アンゴラ山羊から生み出される繊維を指します。(雑誌等では「モヘア」という記述が多いのですが、家庭用品品質表示法など正式には「モヘヤ」ですので、ここではモヘヤで通します)羊と山羊が似ているけれど少し違うのと同様に、ウールとモヘヤも構造的に似ており共通する性質が多いのですが、やはりそれぞれの個性があります。最大の違いは繊維がモヘヤのほうが太く、表面を覆っているうろこ状の「スケール」も大きいため、全体的にドライなタッチで張りがあり、光の反射が多くなるため光沢感も増します。主に春夏に求められる特徴の多くをモヘヤは備えていることになります。このモヘヤを2月から3月に着る、ということは現実問題として寒い・・・のですが、やはりメンズファッションの基本は「やせ我慢」ですので、季節を先取りして梅春にモヘヤを着るのは粋だと思います。

今回、私自身の着用分として「ミユキチャンピオンモヘヤモヘヤ」を用いた服地を選び、スリーピーススーツをオーダーしました。このスーツの仕上がり具合とチャンピオンモヘヤの詳細については後日触れます。

服装文化のルーズ化が進行し、10マンス素材の功罪もあって季節の区分にも無頓着になり近年ほとんど梅春という言葉を耳にすることがなくなりました。しかしながら、本来季節のうつろいに敏感だったはずの日本人の感性を取り戻したいという思いもありまして梅春物素材のモヘヤをお勧めいたします。

ミユキチャンピオンモヘヤ(全6色ございます)