MIYUKI Journal

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Vol.6 ミユキソーイング小樽工場                – 河村工場長インタビュー –

ミユキソーイング小樽工場


MIYUKI CRAFTS SUITS(以下MCS)のジャケットやコートを主に縫製しているミユキソーイングの小樽工場にて、工場長の河村さんへ、広報グループ小森さんがミユキソーイングの小樽工場についての質問・対談をしました。

小森:実は今回初めてこちらにお邪魔したんですけれど、すごく雰囲気がある工場ですね。小樽運河も近く、観光地の中心にあり周りも古き良き建物が残されていてビックリしました。

河村:そうなんです。この辺りは当時の流行を取り入れた銀行建築が立ち並んでいて、「北のウォール街」と呼ばれていました。この建物は大正14 年に建てられた建造物で、今年で99歳なんですよ。来年でいよいよ100歳です。

見ていただくとわかるのですが、柱には様々な彫刻が施されています。
この建物は田辺 淳吉さんという建築家の方が設計されたのですが、田辺さんがヨーロッパに修行に行って戻ってきて最初の建物ということで、相当貴重な建物らしいです。
工場としては、建家なのですごく仕事がしづらい部分もありますが、しっかりと愛着を持っています。


小森:この建物は旧第一銀行小樽支店だったということで、外観からは工場だということが全く分かりませんでした。
工場と聞くと、長いレーンでワンフロアに長いイメージがあったのですが、この建物は3階建てということで珍しいですね。

河村:そうですね、鉄筋コンクリート造4 階地下1 階建てになります。地下にはボイラー、それと高圧電気を扱っていますので、電気室と、ちょっとした作業場スペースがあります。
3 階は、背広を組み立てていくメインの縫製場になっています。そこで作られた製品を1 階に下げ、ミシンが入らないところは手まつり作業をします。その手まつり作業から出荷までの作業も1階で行っています。
4 階には御幸毛織の生産部の皆さんの事務所があります。ちなみに屋上は小樽の街を見渡せて、すごく見晴らしがいい所ですよ。
そして2 階は今いるここなのですが、吹抜けスペースになっていて変わった感じですよね。これは聞いた話なのですが、ここ銀行だったじゃないですか。ちょうど全体が見渡せるので、守衛さんがここから監視していたそうです。銀行ということで、こういう吹き抜けの建築になったのかなと、僕は思っています。

あと、この2階には食堂と付属などの置き場所、粗裁ちという裁断作業のスペースもあります。


小森:だから広い吹き抜けになっているのですね。
ちなみに、粗裁ちとはどのような工程ですか?

河村:はい、オーダーは色々なサイズの方がいらっしゃるので、胴裏をザクっとした形に切って、パターンに合わせてちょっと大きめにカットするのですが、これを粗裁ちと言います。


小森:ありがとうございます。ちなみにこちらの工場ではどういったアイテムを縫製されているのですか。

河村:うちの工場は、上着に特化した工場です。パンツができるわけでもなく、ベストやスカートも作るわけではない。上着に特化しているということを考えると、上着で勝負しなければならないので、変わり型のジャケットやコートですね。この2点に力を入れてます。


小森:こちらで作られているコートは「コタル」と呼ばれていると思うんですけれど、コタルについて詳しく教えていただけますか。

河村:以前のミユキ販売の時からコートは作っているのですが、上着に特化した工場なので、北海道で生き残っていくためには何が必要なんだろう?と考え、付加価値をしっかりと形にしなければいけないな、ということで何人かのスタッフから「小樽ブランドの小樽コートを作ってみたら?」という提案を頂きました。
その言葉からコートに集中しはじめ、そうこうしているうちに気が付くと周りに仲間たちが集まり、協力してくれていました。色々な人が関わってくれてコート作りに集中できましたね。
小樽工場の存在価値の一つという形で作らさせてもらったコートはファクトリーオーダーブランドとして「コタル」と(コート+ オタル)MCS の富山さんに名付けて頂きました。
このような流れで今のコタルがあります。ゴールというものはないのですが、良いものを作れたらな、といつも思ってますね。

(ブランドページはこちらから→)COTARU

小森:今、河村さんから「様々な方との関わり」というワードが出たと思うのですが、河村さんは対人(ひと)というのをすごく大事にしているとお聞きしました。普段働いている中で何か意識していることはありますか。

河村:意識していることですか。偉そうなことを言える人間じゃないんですけど、人って気配りができて、目配りができて、それ全て含めて「思いやり」だと思うんですね。このごろニュースを見ても考えられないような事故・事件が起きていて、例えば隣同士の付き合いもないとか、そういった事がすごく自分にとっては寂しいなと。だからここにいる人たちは今言ったような、「目配り・気配り・思いやり」ができる人たちになってくれたらなと思っていますし、自分自身、真剣に向き合いたいという気持ちが非常に強いです。面倒くさいですけどね。
だからこの工場の人たちと接する時には本気で付き合いたいですし、間違ったことをしている時には本気で怒るし、何か答えを導き出せた時には一緒に喜びたいですし。
こだわりという所は、本音で付き合いたいっていう所ですかね。



小森:働く皆さんがお互いに思いやりを持って本音で付き合っていくという点に、すごく河村さんらしさを感じました。
では最後にミユキソーイング小樽工場の今後の目標などがございましたら教えてください。

河村:そうですね。先ほど言った協力してくれる仲間の一人、モデリストの金子さんからチャンスをいただいています。そのチャンスというのが、国内国外のブランドの製品を作るということ。最終目標といいますか、、海外でどれだけ通用するのかということを試してみたい!という気持ちがあります。先ほども言いましたが、周りの人たちの助けがあってこそできることなので、僕の中に、人とのつながりや横のつながりを大切にするというのがそこにあるんですよ。
工場全体でも、現場の人たちにも、自分たちの仕事が海外にどれだけ通用するのか、チャレンジ精神を持ってこれからも作り続けていってほしい!という思いは全体朝礼でもよく伝えていますね(笑)。

小森:皆さんが同じ方向へ気持ちを向けてチャレンジしているというのは素晴らしいですね。
ありがとうございました。


ミユキソーイング株式会社小樽工場
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