御幸毛織の直営店ミユキ クラフツ・スーツがお送りする
スーツの知識ブログ。
さて、今回のブログでは雨の日のスーツの手入れについて発信していこうとした矢先、6/27に梅雨が明けてしまうという誰もが予想だにしないほど異例の速さで雨の季節が終わりを迎えてしまいました。
当初、用意していたブログが既に遅い情報になってしまったという悲しい現状を受け入れて、何食わぬ顔で今回のブログを出していきます。
気を取り直して、今回は雨の日のスーツの手入れの仕方をお伝えしていきます。
雨の日でなくても使える手入れなので
「スーツの手入れがわからない」
「そもそもスーツは手入れが必要なのか」
という方にも役に立つ知識をお伝えしていきたいと思います。
スーツが濡れてしまうと起こる現象
スーツはそもそも言わずもがな“ウール”を用いて作られております。
つまり、スーツが濡れてしまい、起きる現象はウールが濡れて起きる現象とほぼ同じです。
ウールというものは様々な特徴があります。
- 吸湿性が高い
- 復元性が高い
- 染色しやすい
などなど。
その中でも今回キーとなるのが「復元性が高い」という部分。
ウールは水分を含むことで伸び、乾燥するに従い、元に戻ろうとする結果、縮んでしまうのです。
このウールが伸びたり縮んだりする現象を「ハイグラルエキスパンション」と言います。
では、この現象が起きることで、スーツはどうなるのか?
表面に凹凸ができます。
この凹凸のことを「バブリング」と言います。
なぜ、水にぬれると凹凸ができるのか
水に濡れてできてしまった、スーツの凹凸は「バブリング」と言いましたが、ここでは「バブリング」をもう少し深堀していきたいと思います。
ウールは顕微鏡を介してみてみると、スケールという髪でいうところのキューティクルのような鱗があります。
水分を含むとこの鱗が開き、開いた隙間に水分が入ってしまうのです。
隙間に入ることにより、ウールの伸縮する動作に誤差が起き、歪んでしまうのです。
歪んでできたものが、「バブリング」です。
水にぬれてしまった時の対応
スーツが様々な場面で濡れてしまったとき、
- 雨で濡れてしまった
- ひどい暑さによる汗で濡れてしまった
- 水たまりがはねて濡れてしまった
など
各場面により、対応方法は少し違ってきますが一つ一つご説明していきたいと思います。
雨や水たまりによって濡れてしまった時
ここでは、早期対応が大切になってきます。
まずは、乾いたタオルで水分を落としましょう。
泥などが付いている場合は、乾燥後ブラシで払いましょう。
この時、濡れている状態で泥などを拭き取ろうとゴシゴシしてしまうと、ウールの水分によって開いた繊維の中に泥などが入ってしまい、取れにくい汚れになってしまうという危険があります。
ブラシに関しては、柔らかい馬毛をお勧めいたします。
水分、汚れを落とした後は、型部分が湾曲している厚みのあるハンガーにかけましょう。
ハンガーは可能であれば、吸湿性の良い木製のものをお勧めします。
そして、雑菌とニオイ対策でスチームアイロンを用いてきれいな水分を軽くあててあげるとシワも除去でき、きれいなスーツに元通りになります。
最後に湿気が少なく、風通しのよいところにおいて完成です。
汗により濡れてしまった時の対応
基本は同じです。
ブラシで、スーツについたホコリなどをブラシを使って取り除きます。
その後、ハンガーにかけ、スチームアイロンをあて、スーツに吸収された汗をきれいな水に変換していきます。
最後に湿気が少なく、風通しの良いところにおいて完成です。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回のブログでは大きく分けて2つ
- ウールの性質から生じる現象
- スーツが濡れた時の対応
皆さんのスーツ知識に少しでも貢献できれば幸いです。
それでは次回のブログでお会いしましょう。
皆さんに愛せる服を。
ミユキのミサキでした。